酸性ストレート(酸性縮毛矯正)とは?
主に、スピエラ、GMT、チオグリコール酸システアミンを酸性で使用し、毛髪のS-S結合を組み換え、ストレートヘアを形成するのが、酸性ストレート(酸性縮毛矯正)です。
以前はアルカリ性縮毛矯正しかありませんでしたが、現在は酸性ストレートも珍しくありません。
神戸 美容室 VERY VERYでは、お客さんが酸性ストレートを希望されましても履歴(ダメージレベル)を考慮し適切で無いと判断した場合、酸性ストレートの施術は行っていません。
酸性ストレートの特徴
メリット
- アルカリによる髪のダメージが少ない、無い(還元剤によるダメージは当然有ります)
- 自然な感じのストレート。ピンピンやツンツンになりにくく、あてているのを悟られにくい。
- コテやカーラーで巻いても形(カールやウェーブ)が付きやすい。
- ホームカラー、ブリーチ、ハイライト等、ダメージ毛~ハイダメージ毛でも矯正可。
デメリット
- 髪質や履歴によっては、くせ毛が伸びない。
- 髪質や履歴によっては、くせ戻りする。
髪質や履歴によっては、酸性ストレートでは、くせ毛が伸びない理由
毛髪の最深部(αへリックス)が壊れていない弾力の残る健康毛は、アルカリ(OH-)で少なからず最深部を壊し、弾力を奪わなければくせ毛は綺麗に伸びませんし、ストレートを維持する事が出来ません(還元酸化作用だけでは物理的に不可能)
なので、酸性ストレートでは弾力の残る健康毛のくせ毛を伸ばす事が出来ません。
ただし、パーマやヘアカラー等でアルカリによるダメージを負った髪は、既に毛髪の最深部が壊されている為、酸性縮毛矯正でもくせ毛を伸ばし維持させる事が出来ます。
アルカリ=悪?全て酸性ストレート?無謀過ぎる美容師
アルカリは痛むからと言って、どんな髪質や履歴でも、全て酸性ストレートでくせ毛を伸ばそうとする無謀な美容師が存在します。以下がその誤った技法です。
- チオグリコール酸アンモニウム50%溶液(原料、金属のサビ取り)を矯正剤として超高濃度で頭髪に使用
- スピエラ、GMTの原液を多量に添加。チオ換算7%を超える法外な高濃度還元剤の使用
- 30分以上、延々と加温放置
- 180℃以上の超高温アイロン
- 1か所に2秒以上のアイロンプレス
- 両手にアイロンを持つ2丁アイロン
- 濡れた髪にアイロンでジュウ~ジュウ~、ウエットアイロン
- アイロン終了後、もう一度髪を濡らしてアイロンをするWアイロン
「酸性なので痛まない・・・」と言いながら、無茶苦茶してます。゚( ゚இωஇ゚)゚。
アイロンのあて過ぎ、熱ダメージ
酸性ストレートでは、アルカリ性縮毛矯正のように優しくアイロンを行ってもくせ毛の伸びが悪いので・・・
- 180℃以上の超高温アイロン
- 1か所に2秒以上のアイロンプレス
- 二丁アイロン
- ウエットアイロン
- Wアイロン等
アイロンを酷使して無理矢理(私にはそうにしか見えない)ストレートに伸ばす方法を良く見かけますが、高熱で髪が焦げてるし。。。
酸性ストレートをされた事のあるお客さんがご来店されますが、アイロンのあて過ぎでノンカラーの黒髪が赤茶けてましたが。。。∑(ノ▼ο▼)ノ
1剤をしっかり水洗(シャンプー)しても、毛髪内に沢山残る未還元の1剤を、アイロン(熱)を使用して後から還元させているだけなのですが、熱の加え過ぎで(酸性域であっても)ビビリ毛などの大失敗や後からダメージ感が凄く出て来ます。
酸性ストレートは優しいのか?
「酸性ストレートは優しくダメージレス」と言ったフレーズをよく見かけますが。。。
酸性縮毛矯正は(アルカリ性縮毛矯正と比べれば)優しい事に間違いはありませんが、弾力の残る健康毛のくせ毛を酸性ストレートで(無理矢理)伸ばそうとすると、
- 自主基準(チオ換算7%)を完全無視、危険極まりない超高濃度の工業用還元剤を使用
- 1剤の加温&30分以上の放置プレイ
- アイロンの酷使
等の方法が必須になってくる為、全く髪に優しくありません。
「髪質や履歴によって矯正剤を使い分ける」事が1番優しい縮毛矯正になります。
酸性ストレート、施術1回目が1番良く伸びる理由
「酸性ストレート、1回目の仕上がりはとても良かったけど、2~3回目以降くせ毛の伸びが悪くなる。。。」と、良く耳にします。
酸性ストレートをメインに行う美容師は気付いていませんが、1回目の仕上がりが1番良い理由は、以前のアルカリ性縮毛矯正の履歴が残っていたからに過ぎません。
最初にも書きましたが、アルカリ(OH-)で、少なからず毛髪の最深部(αへリックス)を少しでも壊さなければ、綺麗にくせ毛は伸びませんし、くせ戻りします。
酸性ストレートで綺麗にくせ毛が伸びた訳でなく、(くせ毛が伸びていなかったり、痛んで仕上がりが悪かったとは言え)以前のアルカリ性縮毛矯正時に毛髪の最深部を壊された履歴があったからこそ、酸性ストレートでもくせ毛が綺麗に伸びただけ。
なので、2~3回と酸性ストレートを繰り返す程(以前のアルカリ性縮毛矯正の履歴が無くなり)くせ毛の伸びが悪くなると感じるのです。
酸性ストレートの問題点
酸性ストレートに使用されるスピエラやGMTは、酸性域で還元力が有ると言っても常温では還元作用が弱く、加温促進器やアイロン等の熱によって還元作用が著しく強くなる剤です。
熱によって還元作用が著しく強くなるスピエラやGMTを、熱処理を施す矯正やデジパーに適していると考える美容師も多くいますが、熱分布や還元作用は肉眼で確認出来ないので、アルカリ矯正より適正還元が分かりにくい。
酸性ストレートでは還元作用をほぼ熱によって行う為、10万本もある頭髪に均一に熱を加える事自体が無理で、部分的な還元の調整が担当美容師毎でバラバラ。
なので、適切かつ均一に還元作用を行う事が非常に難しく、くせ毛が伸びたり伸びなかったり、部分的に質感が良くても部分的に酷いダメージ感が出たり、仕上がりムラが常習しているはずです。
酸性ストレートで失敗されたお客さんが多数ご来店されます。。。
まだまだイメージが良い「酸性ストレート」の言葉で集客する美容室が多いからか、ここ数年は酸性ストレートで失敗(癖毛は全く伸びてなく傷んでチリチリに)されたお客さんがよくご来店されます。
ダメージの原因であるアルカリ剤は使用していなくても、髪の結合を切断し変形させる還元剤は使用するので、仕上がりの良し悪しは使用する美容師次第です(誰が使っても結果が変わらない、シャンプーやトリートメントとは訳が違います)
酸性ストレートの失敗の兆しは一見分かりにくいのですが、
- ピンピンに真っ直ぐ過ぎる
- 髪が硬く風になびかない
等、酸性ストレートなのに不自然さが出ている髪は大変危ない状態です。
一般的に、アルカリ性縮毛矯正と酸性ストレートでは、酸性ストレートの方が自然に仕上がると言われています。
しかし、決して間違いではないのですが、正しくもありません。
他店で酸性ストレートをされてきたお客さんを多く見てきましたが、不自然な仕上がりも多く見てきました。
何故、酸性ストレートの方が自然に仕上がるのか?
その理由を理解していない美容師にあたれば、酸性ストレートでも不自然に仕上がりますよ。。。